医療法人社団 産科・婦人科 小室医院

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子宮筋腫検診と治療法

子宮筋腫検診

手術やお薬による治療が必要なのか、そのまま経過を見て差し支えないものなのか、いろいろと不安に思われる方も多いことでしょう。皆さまそれぞれに合った、より良い筋腫の管理法をアドバイスいたします。

子宮筋腫ってどんな病気?

子宮筋腫とは子宮にできる良性の腫瘍です。 非常に頻度が高く、小さいものを含めると30歳以降の女性の4人~5人におひとりの割合で見つかるとも言われます。 ほとんどは無症状に経過し、ご本人は気付かれないまま、子宮がん検診や妊娠の健診をきっかけに発見されることも少なくありません。
筋腫のできる場所によって漿膜下筋腫(子宮の表面)、筋層内筋腫(子宮の筋肉の中)、粘膜下筋腫(子宮の内腔)に大別されますが、同時に発見されるケースもよくあります。 筋腫の発生、発育には女性ホルモンのエストロゲンが関わっており、エストロゲン分泌の活発なご年齢の方ほど筋腫が大きくなる可能性が高いと言えます。 大きさが増すにつれ生理の量が多くなったり(過多月経)、不正出血、生理痛、腹痛、腰痛、頻尿、さらには不妊など多彩な症状が出現します。 これらは筋腫の存在場所、大きさや数によって左右されます。

子宮筋腫の診断はどのようにするのでしょう?

通常は内診で、腫大して固くなった筋腫結節(こぶ)を触れることによって容易に診断されます。このほかにも超音波エコー検査は有効な診断法になります。 また状況によっては、CTならびにMRIなどの画像を参考にする場合もあります(撮影は放射線科にお願いします)。

子宮筋腫にはどのような治療をするのでしょう?

すでにお話ししたように、子宮筋腫は良性の疾患で、発育もおだやかであることにより、筋腫を持った女性すべてが治療の対象になるわけではありません。とくに閉経を迎える と、エストロゲンの分泌量が減って筋腫の結節(こぶ)そのものが小さくなり、症状の消失を認める場合も少なくないため、更年期の女性では、経過観察にとどめるケースがほとんどとなります。
おもな治療法は手術療法と、薬物による保存療法とに分けられます。

手術療法

筋腫に対しては、単純子宮全摘出術が基本的な手術方法になります。
一方で妊娠の経験がなく、筋腫の存在が不妊の原因と考えられる方には、子宮を残して筋腫のこぶだけを取る筋腫核出術を行います。
全摘術には、お腹を開ける腹式と、お腹に傷を付けない腟式術がありますが、子宮の摘出は、筋腫の大きさがある程度にまでなっているか(目安は手拳大)、大きさはそれ程ではないものの症状が極めて強くて日常の生活に支障を来すような症例が、適応になります。

子宮動脈塞栓術

子宮を摘出せずに、筋腫の栄養血管となる動脈を選択的に閉塞させて、筋腫に回る血液の量を減らし、兵糧攻めのように筋腫を壊死状態にしてしまおうとする治療法です。症状があるにもかかわらず手術ができないか、手術を望まない女性に検討される方法です。

薬物療法

筋腫に対する薬物療法には、GnRHアゴニスト療法があります。 このお薬は、排卵を促すホルモンを分泌する上位中枢(下垂体)に働きかけて、下垂体からのホルモン量を低下させ、卵巣から出るエストロゲン(女性ホルモン)を減少させます。 その結果、低エストロゲン状態が生じて生理もなくなり、筋腫の発育が止まり、ある程度小さくする効果も期待できます。以前は点鼻薬がよく使われましたが、現在は4週間に1度、皮下に注射をうつ方法が主体となっています。これらの治療は通常半年間を1つの単位として行われます。
GnRHアゴニスト療法は、おもに手術を希望されない閉経に近い年齢の女性に対して、意図的に更年期に逃げ込もうとする場合、あるいは子宮摘出術前に、一時的にせよ筋腫の縮小を促して手術時の出血量の減少を図るのを目的とした場合などに用いられます。

子宮筋腫は薬物で治せるのでしょうか?

残念ながら現在は筋腫をお薬で完全に治すことはできません。あくまでも補助的な治療法となります。
また、月々の出血量が多く貧血に陥っている方には、貧血の改善を目的として、鉄剤などのお薬を処方するケースもあります。

筋腫の管理はどのようにしたらいいのでしょう?

まず筋腫が発見されたときは、その大きさ、発現場所、個数などを把握するとともに、症状の有無や程度を確認します。おひとりおひとりの年齢や症状の出方、さらにはおかれた環境によっても管理対策は微妙に異なってくるのですが、子宮がん検査(頸がん、体がん細胞診)や貧血検査を行いつつ、定期的に内診、エコー検査で大きさの推移をチェックしていくのが一般的な方式と言えます。
ただし、不正出血がたびたびあって貧血がなかなか治らない、生理痛、腹痛、腰痛などがきつくてとても辛いといった悩みをお持ちの方には手術も考慮します。また閉経を迎えたあとでも筋腫の大きさが増すような場合は、悪性への変性(肉腫化)も気になります。このように手術療法の適応となるときには適切な施設をご紹介いたします。

子宮を摘出すると更年期になるの?

女性ホルモンは卵巣から分泌されます。したがって、筋腫のために子宮を摘出されても、残された卵巣の機能に問題のない限り、(もちろん生理はなくなりますが)いきなり更年期症状が出る心配はありません。