医療法人社団 産科・婦人科 小室医院

358-0004 埼玉県入間市鍵山1-12-16

フリーダイヤル
0120-12-9951

性感染症症状と検査・治療法

おりもの、かゆみ、痛みなど、気になる症状がある場合にはそのままにせず早めに受診し、早期治療を心がけましょう。

性感染症ってどんな病気?

性行為によって感染する疾患を性感染症と言います。これら性感染症の特徴は典型的な症状が出にくく、そのため、ご本人が気付かないうちに病状が進行してしまう場合も珍しくありません。感染の不安をお持ちの方はなるべく早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けていただくことが大切です。

性感染症にはどのようなものがあるのでしょう?

クラミジア感染症

クラミジア・トラコマティスと呼ばれる微生物によって生じる性感染症で、10代~30代に増加の傾向がみられます。男性は、排尿痛や尿道から分泌物が出たりするなどの症状から、早期の発見はそれほど難しくないのですが、女性の場合は一般に自覚症状に乏しく、診断が遅れがちになるため注意が必要です。
クラミジア感染をほうっておくと、炎症が子宮から卵管を通ってお腹の中まで広がって、腹膜炎を引きおこしたり、卵管が癒着して、将来不妊につながる心配も出てきます。
クラミジアの検査は、おりものや血液のチェックによって行われ、治療には抗生物質が投与されますが、この場合、ピンポン感染(男性との間を菌が行ったり来たりして繰り返し発病する状態)を防ぐ意味でパートナーも一緒にお薬を飲んでいただきます。

カンジタ腟外陰炎

カンジタといった真菌(かび)の一種が、腟や外陰部に感染し炎症を来たした疾患です。粉チーズ状のカンジタ特有のおりものが増え、かゆみを強く感じます。とくに妊娠や糖尿病のように全身性に代謝の変化が生じたときや、抗生物質を多用した場合などに発症しやすいと言われます。
治療には、抗真菌薬を用いた腟洗浄、かゆみに対しては、抗真菌クリームの塗布が行われます。

トリコモナス腟炎

トリコモナス原虫の感染によって出現します。外陰部にかゆみが強く、また泡状のおりものの増加が目立ちます。顕微鏡によって原虫の存在を確認し、治療には、抗トリコモナス薬による腟洗浄や内服処置が加えられます。

淋菌性腟炎

淋菌の感染によっておこり、膿のようなおりものや排尿痛などがみられますが、はっきりとした症状を伴わずに経過することも少なくありません。無処置のままだとクラミジアと同様に炎症が骨盤内にまで波及して、さまざまな合併症発症の引き金になります。菌が証明されたなら抗生物質投与による治療が実施されます。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスに感染したことによって生じる性感染症です。このウイルスには1型と2型があり、性器にうつるのはおもに2型のウイルスです。
感染後、数日の潜伏期を置いてから外陰部に痛みやかゆみを覚え、さらに水泡、潰瘍ができて高熱を伴う場合もあります。また、患部が下着に触れたりこすれたりしただけでも強い痛みを感じ、そのために排尿もままならないケースもあります。治療には、抗ウイルス製剤の飲み薬(バルトレックス)や患部に塗る軟膏(アラセナ-A 軟膏)があり、これらのお薬を使用すればやがて症状の改善が得られます。
ただ、この病気はその後もウイルスが体内に潜んでいて、からだの抵抗力が落ちたりすると再燃する可能性があります。症状は初回の感染時より軽いのですが、疲労、アルコール摂取、紫外線刺激、ストレス、睡眠不足などが再発を誘発すると考えられますので、これを防ぐには、疲労やストレスを避け、適度な運動を行い、睡眠を十分に取って規則正しい生活を送るよう心掛けます。
性器ヘルペスが年に何回(6回以上)も繰り返し再発するような方には、抗ウイルス製剤(バルトレックス)を最長1年ほど長期にわたって飲んでいただくこともあります。

非特異性腟炎

以上に述べたもの(カンジタ、トリコモナス原虫、淋菌など)以外の病原微生物が原因となっておこる腟炎を指します。起因菌にはブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌などがあげられ、おりものの増加や外陰部のかゆみがおもな症状ですが、通常症状は軽めで、治療には抗生物質の腟錠を用います。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV) 6型、11型(子宮頸がんの発現に関与するHPVとは異なるタイプのウイルス)の感染によって発症する疾患で、外陰部、肛門の周り、腟壁などに先のとがった小さなイボができます。このイボはしばしば多発し、ふつう痛みなどの自覚症状はありませんが、やはり性行為でうつる可能性のある病気ですから、パートナーへの感染を予防するためにも、きっちりとした治療が必要になります。
当院で行う治療は、一般にイボの数が少ない場合は麻酔をした上で、電気メスやメスで外科的に取り除きますが、イボの数が多く、かつ広範囲にわたるようなケースでは、切除は困難なので病変部に外用クリーム(ベセルナクリーム5%)を塗る薬物療法を選択します。