月経前緊張症症状と治療
生理前のすっきりしない辛さにはちゃんと対処法がありますので、ぜひご相談ください。
月経前緊張症とはどのようなものですか?
生理の2週間から数日前になると、頭痛、腰痛、下腹痛、むくみ、体重増加、便秘、下痢などの身体症状や、イライラ、めまい、うつ状態、無気力、食欲不振、集中力低下のような精神症状が出現し、生理の発来とともに消失する周期性を持った症候群(いろいろな症状の集まり)を月経前緊張症と呼んでいます。
つまり、「不愉快な状況が生理前にあるけれど、いざ出血が始まるとなんとなく落ち着いてしまう」、こんな経験をお持ちの女性は少なくないと思います。症状の出方は単一ではなく、いくつかが重なり合う場面も珍しくありません。
原因としては、排卵の後、卵巣から分泌される黄体ホルモン(女性ホルモン)のいたずらに基づく変化と理解されますが、ほかにも、生理前に脳の中のセロトニンと呼ばれる神経刺激の伝達物質が急激に減少して、一過性に精神状態が不安定になるとの説もあります。
月経前緊張症にはどのような治療をするのでしょう?
生理が始まると自然に辛さがなくなっていくため、ついついそのままにしておかれる方もいらっしゃるようです。しかしながら、お仕事の能率が低下したり、職場、学校のお仲間やご家族に無意識のうちに迷惑をかけてしまうなどの心配もあるでしょうから、やはり適切な処置を受けられたほうが、すっきりするはずです。
対処法には、薬物療法と、日常生活上での注意点が挙げられます。
A) 薬物療法(基本的には、対症療法が主体になります)
- 鎮痛剤
- 腹痛、腰痛をはじめとする痛みに有効です。
- 抗不安剤、安定剤
- ゆううつ、不眠、無気力状態が強いときに用います。
- 利尿剤
- むくみには利尿剤で尿量を増加させ、症状の改善を図ります。
- 漢方薬
- 全身倦怠感、頭痛、めまい、冷えなどに対し効果が期待できます。
- ピル(経口避妊薬)
- ピルを服用することにより、排卵が抑制されて黄体ホルモンの分泌が低下します。このお薬の効能は人によって多少異なるようですが、良好な結果が得られる場合も多く、本症にはよく試みられる治療法です。
- 抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
- 生理前の脳内セロトニンの低下が、不愉快な症状の発現を招く一因とも考えられています。そこで、このセロトニンの活性を促して良好な効果を得ようとするもので、とくに抑うつ症などの精神症状が続く方に合ったお薬です。
B) 日常生活上の対策
- 食生活
- バランスのよい食生活に気をくばり、ビタミン、ミネラルを豊富に摂り、偏った食事にならないように注意します。また、カフェインを多く含む飲料は症状を悪化させる可能性がありますので、摂取しすぎないよう心掛けます。
- 運動療法
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規則正しい生活は、月経前緊張症を和らげる有効な手立てになります。それには、日頃からご自身の体力に見合ったエクササイズを定期的に行っておくと、睡眠も十分に確保されて、メリハリのきいた生活を送ることができます。
とくに、生理前には骨盤内に血液がうっ滞しやすく、これらは痛みの発症につながりますから、ジョギング、ウオーキング、水泳、あるいは下肢の屈伸運動などによってスムーズな血流を促し、各種症状の解消に努めるとよいでしょう。